紙の手形・小切手の廃止について
近年の資金決済ではデジタル化の流れを受け、紙の手形や小切手の利用が段階的に縮小・廃止される方向に進んでいます。従来、日本では企業間取引において約束手形や小切手が広く利用されてきました。特に手形は「支払を一定期間先送りできる信用取引手段」として根付いてきましたが、近年は銀行振込や電子記録債権(でんさい)といった新しい決済方法への移行が加速しています。
廃止の背景
紙の手形・小切手が廃止される主な理由は、デジタル化やキャッシュレス化の影響があり、①業務の非効率性、②紛失・盗難リスク、③コストの増加、④DXの進展といった背景があります。
政府も「手形慣行の廃止」を成長戦略の一つと位置付け、2026年度末を目途に紙の手形利用を原則廃止する方針を示しています。
これに伴い、日本の手形交換所における手形・小切手の交換は2026年度末に終了予定となっています。
紙の手形には、支払い期日が延ばせることで支払い側の資金繰りに余裕が出るというメリットがあります。ただし、受取り側の資金繰りの負担や紛失・盗難リスクなどを考慮すると、一概に良いものであるとは言えません。
紙の手形や小切手が廃止されたのちの対処方法として、政府は電子記録債権(でんさい)の活用を推奨しています。
電子記録債権(でんさい)とは
一般社団法人全国銀行協会の100%子会社として設立された「株式会社全銀電子債権ネットワーク」が提供する電子記録債権のことです。債権の発生・譲渡や割引といった機能を維持しつつ、電子債権記録機関の記録原簿に電子記録することを要件としており、すべての手続きをオンライン上で行うことができます。
インターネットを通じて安全かつ迅速に発行・譲渡・決済ができる仕組みで、すでに多くの金融機関が対応しています。紙の手形と比べて管理が容易であり、紛失や盗難のリスクがなく、ペーパーレス化や業務効率化を進めるうえでも有効な選択肢となります。
一方で、中小企業にとっては「従来の資金繰りの感覚が変わる」ことに不安を感じるケースもあります。特に、手形を裏書譲渡して仕入先への支払に充てていた企業は、取引条件の再調整が欠かせません。そのため、今のうちから取引先との話し合いを行い、スムーズな移行に備えることが重要です。
まとめ
紙の手形・小切手の廃止は大きな制度変更ではありますが、同時に業務効率化やリスク低減のチャンスでもあります。
企業にとっては「支払条件の見直し」「電子記録債権や振込の導入」「資金繰り計画の再構築」が今後の重要な課題となるでしょう。
