2025年2月現在、「年収103万円の壁」を123万円に引き上げることを盛り込んだ関連法案が閣議決定されており、今後も与野党で協議し、修正される可能性もあります。 年収の壁とは、労働者の年収が一定額を超えた場合に税、年金、社会保険料の負担増による手取り減額問題です。年収の壁が引き上げられた際には、その範囲内で労働時間を調整される場合もあるでしょう。 一方で2024年10月からは短時間労働者の社会保険適用範囲が拡大されており、企業側は対応が必要になっているケースも多いと思われます。ここでは、社会保険適用範囲の変更について、以下で解説いたします。
2022年10月からパート・アルバイトなど短時間労働者の社会保険の加入義務が拡大されましたが、2024年10月からは更に適用範囲が拡大されます。
2024年10月から、従業員数が51人から100人の企業で働くパート・アルバイトが新たに社会保険の適用になります。(以下図参照)
新たな加入対象となる従業員は、パート・アルバイトの方のうち、以下のすべてに
チェックが入った方になります。
厚生労働省と日本年金機構は、従来より未加入事業者への指導を行っていますが、近年更に企業向けマイナンバーを使った加入逃れの防止対策をスタートし調査及び加入指導を強化しています。
電話や訪問による加入促進に取り組んできましたが、未加入の事業所に連絡が取れないケースが多く見られたため、従来の調査に加え、立入検査を重点的に実施することで、未加入事業所は大幅に減少しました。
社会保険の未加入が判明して強制加入となると、過去2年間に遡って社会保険料を徴収される恐れがあります。また社会保険の加入対象となっている未加入事業所のうち、虚偽の申告をしているケースや加入指導に従わない場合など特に悪質だとみなされれば、経営者が「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰則」や、国からのペナルティだけでなく、労働者から損害賠償を請求されるリスクもあります。
社会保険への加入義務化は、短期労働者にとって老後や万が一のときの保障が手厚くなるというメリットがある一方、企業や労働者自身にとって保険料負担が膨らむというデメリットがあります。「キャリアアップ助成金」、「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」など各種補助金の加点措置等の制度も有効に活用して対策を進めていく必要がありますので
常に情報を収集し、様々なリスクに対応しましょう。
詳細は厚生労働省の特設サイトをご確認ください。
社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/